chromedium note

別居婚からの妊娠、出産、子育てのあれこれ。

パスポートに旧姓を併記してみた。

結婚して新しくパスポートを作ることになったので、せっかくだから「旧姓併記」に挑戦してみました。

きっかけはこちらの記事。

www.rechiba3.net

この記事を見つけたときは「ほうほう、パスポートに旧姓を記載することもできるんだ〜!」くらいにしか思わなかったのですが、よく考えると自分も仕事上で旧姓を使っているし、過去の業績も旧姓。
仕事で海外に行くときに旧姓を使っていると、身分証明を求められたときに新姓のパスポートしかないと困ることもありそうだ…。


というわけで、旧姓併記の手続きを実践してみました。
私は地方在住なので、東京や神奈川のようにダウンロード書式が整ってなくてもできましたよ〜ということで、事例共有いたします。

まずは基礎知識。
外務省の旧姓についての見解はこちら。*1

Q16 結婚して姓が変わりました。旧姓をパスポートに記載することは可能ですか?

A できません。ただし、例外的に併記することが可能な場合があります。

 パスポートの氏名は戸籍に記載されている氏名でなければいけませんので、結婚や養子縁組により姓が変わった場合は、改姓後の氏名でパスポートを作成する必要があります。ただし、外国で旧姓での活動実績があり、旧姓表記でないと支障が生じる場合など、渡航にあたり旧姓などの別名も併記する必要がある場合は、その必要性が確認できる書類等を提出していただき、審査の結果、これが認められる場合には、別名併記が可能です(この場合は姓の後に括弧書きで表記されます。なお、この場合、別名併記はあくまでも例外的かつ便宜的な措置であるため、ICチップには記録されません。)。詳しくは、各都道府県の申請窓口又は在外公館へご確認ください。

 パスポート自体は戸籍名(この場合は新姓)でしかできないけど、旧姓表記が必要な理由があれば、おまけで旧姓も記載してあげるよ、ということのようです。

 

(1)旧姓表記の条件

  • 外国で旧姓での活動実績があり、旧姓表記でないと支障が生じる場合。
  • 旧姓を海外でも仕事で日常的に使用し、活動実績があり、旧姓表記でないと支障が生じる場合。

残念ながら、誰でも旧姓表記ができるというわけではないようです。

すでに海外で旧姓での活動をしていて実績もある、ということが求められています。

外国での使用実績がない場合や、芸名やペンネームなどの通称は併記が認められていません。

 

(2)事前に準備する書類

  • 戸籍謄本
  • 身分証明書
  • 旧姓が記載されたパスポート(綴の確認用)
  • 旧姓使用申請書
  • 外国において、旧姓での活動や実績が確認できる書類

順にみていきましょう。

戸籍謄本

これは旧姓表記とは関係なく、パスポート申請時に必要な書類ですね。

通常は「戸籍謄本または抄本」と書かれていますが、旧姓表記を希望される場合は旧姓が記載されている戸籍謄本のほうが無難でしょう。


身分証明書

これも通常の申請でも必要となるものです。運転免許証や前回のパスポートなどが使えます。

 

旧姓が記載されたパスポート

旧姓の綴(つづり)の確認に使うそうです。

 

旧姓使用申請書

職場にお願いして、「職場で旧姓を使用していますよ〜。仕事で海外渡航する必要もありますよ〜」ということを証明する書類を作ってもらいます。

東京都や神奈川県は指定の様式をダウンロードできるようですが、私の住んでいる県のホームページでは見つからなかったので、神奈川県の様式*2を参考に作成しました。

f:id:chromedium:20161216010603j:plain

かんたんな書類なのでパパッと作れます。自分で書類を作成して職場で押印してもらいました。

 

外国において、旧姓での活動や実績が確認できる書類

さて、問題はこれですね。

外国で出版された著書や論文、招聘状などが該当するようです。
私の場合は英語の論文が何本かあったので、それを持参しました。
いちおう論文をまるごと印刷して持っていきましたが、主だったものの表紙だけコピーしてあとは返却されました。

 

(3)窓口で記入する書類 

  • パスポート申請書(旧姓は裏面に記入!)
  • 事情説明書

こちらも順に見ていきましょう。

パスポート申請書

通常の申請書と同じものです。表面は普通に戸籍上の姓名で記入しましょう。
旧姓併記を希望する場合は、申請書の裏面の「旅券面の氏名表記」の欄が重要になります。

こちらの姓の欄に、戸籍上の姓の後ろに( )書きで旧姓を記入しましょう。

例:SHINSEI(KYUSEI)

下の名前は戸籍名と変わらないので、何も書かなくて大丈夫です。

事情説明書

手続きの最中に「どうして旧姓併記が必要か」の詳しい説明を求められ、その理由を書く書類を渡されます。
「私はこういう業務をしており、これまでに旧姓で業績を発表しており、今後も旧姓での業績発表や海外出張が必要となるため、パスポートへの旧姓併記を希望します」といった感じで書きました。


(4)手続き

  1. 事前に準備する書類をすべて揃えたらパスポートセンターに行き、パスポート申請書に記入します。裏面も忘れずに。
  2. 窓口に申請書を提出する際に「旧姓を併記したい」ということを伝えました。窓口のお姉さんがちょっと固まってしまったので「必要書類は揃えてきました」と付け加えると「わかりました。すぐ調べますね!」と快く対応してくれました。
  3. 必要書類を求められ、ずらっと提出。旧姓使用申請書と実績を出したら「チェックしますので少しお待ち下さい」とのこと。
  4. 窓口に呼ばれ、仕事での渡航予定や今後も旧姓での業績発表予定があるかを聞かれました。日程は決まっていないけど渡航予定があること、今後も業績発表をしていくことを伝えると、「今の内容を事情説明書に書いてください」と書類を渡されました。そのまま窓口で書いて、オッケーをいただきました。
  5. パスポートができたら取りにくるように言われ、終了!!料金の支払いは受取時らしい。


というわけで、特に大きな問題もなく、予想以上にスムーズに旧姓併記の申請が完了しました。
窓口の方の様子を見る限り、あまりこういう申請は頻繁にはなさそうな感じでしたが、すぐに調べてくれて、特に渋られた印象もなかったです。
書類をばっちり揃えていたことも功を奏したのでしょう。これも先人ブロガーさんたちのおかげです。ありがとうございます。
パスポートに旧姓を載せたいな〜と思っている方は、ぜひ挑戦してみてください。

ただ、旧姓併記ができるのは仕事上で旧姓を使用している、既に海外で旧姓の実績がある場合のみという条件はなかなか厳しいものだなあと感じました。
研究者や執筆業の人は印刷物として形に残る業績を作りやすいけど、業種によっては「海外で活躍している」ことの証明が難しいだろうなー、とも。


2017年度以降にはパスポートやマイナンバーカードでも旧姓併記ができるようになる、ということなので、このへんの制限もゆるくなるといいですね。

style.nikkei.com

 


他に参考にさせていただいたブログ:

kokubo.seesaa.net

*1:こんな時、パスポートQ&A | 外務省

*2:同意書など添付書類一覧|神奈川県パスポートセンター公式サイト